甲状腺炎の治療

甲状腺は内分泌調節に不可欠な役割を果たし、人体の成長過程全体において重要な調節作用を果たしています。しかし、現在では甲状腺炎、風土病性甲状腺腫、甲状腺結節などの甲状腺関連疾患がますます増えています。甲状腺疾患は内分泌に関係しているため、治療がより複雑です。現在、最も一般的なのは甲状腺炎です。

甲状腺炎を患うと、甲状腺機能に深刻な影響を及ぼし、間接的に内分泌障害を引き起こします。甲状腺炎を患っている場合は、できるだけ早く診断して早期に治療を受ける必要があります。そうしないと、一連の合併症を引き起こし、人体に大きな害を及ぼします。甲状腺疾患の治療についてご紹介します。

甲状腺炎は、女性に多く見られる一般的な甲状腺疾患です。臨床症状は多様です。同じタイプの甲状腺炎でも、病気の進行段階によって、甲状腺機能亢進症だけでなく、甲状腺機能低下症、びまん性甲状腺病変、甲状腺結節として現れることがあります。異なるタイプの甲状腺炎が相互に変化する場合もあります。したがって、甲状腺炎は甲状腺疾患のあらゆる側面を包含しており、多くの甲状腺疾患との鑑別診断が必要です。甲状腺炎のさまざまなタイプと臨床的特徴を理解することは非常に重要です。

1. サイレントリンパ性甲状腺炎

この障害は一時的なもので、数か月しか続きません。甲状腺機能亢進症の段階では、通常はプロプラノロールなどのベータ遮断薬のみを使用して、保守的に治療する必要があります。抗甲状腺薬、手術、放射線療法は禁忌です。一過性の甲状腺機能低下症には甲状腺ホルモン補充療法が必要になる場合があります。甲状腺機能低下症は場合によっては永続的になることもありますが、ほとんどの人は正常な甲状腺機能に戻るため、6 ～ 12 か月後に甲状腺機能を再評価する必要があります。

2. 亜急性甲状腺炎

高用量のアスピリンまたはNSAIDを使用します。より重度で長期にわたる場合には、コルチコステロイド（プレドニゾン 30～40 mg/日、6 週間かけて徐々に用量を減らす）が推奨され、すべての症状は 24～48 時間以内に消えます。甲状腺の放射性ヨウ素の摂取が正常に戻れば、治療は終了します。

3. 急性甲状腺炎

初期段階では局所的に冷湿布が適しており、後期段階では温湿布が適しており、抗生物質が全身投与されます。膿瘍がある場合は、膿瘍が気管、食道、縦隔に破裂するのを防ぐために、早期に切開と排膿を行う必要があります。治療には抗生物質と局所切開および排膿が含まれます。穿刺液と血液培養を行い、薬剤感受性試験を実施して、細菌を除去するのに効果的な感受性抗生物質を選択するのが最善です。甲状腺の炎症が数日続くと膿瘍が形成されます。そのため、膿を効果的に除去し、できるだけ早く局所の炎症を抑えるために、甲状腺膿瘍を切開して排膿する必要があります。首の痛みは明らかなので、鎮痛剤やサリチル酸製剤などの鎮痛剤が使用されることがあります。

4. 橋本病

軽度の甲状腺腫大で症状のない患者は治療の必要がないかもしれませんが、経過観察を受ける必要があります。甲状腺が著しく肥大している場合や甲状腺機能低下症がある場合は、血清TSH値のみが上昇している場合でも、治療のために甲状腺製剤を投与する必要があります。一般的には、1日あたり20～40 mgの甲状腺薬、または25～50マイクログラムのL-T4という少量から始め、徐々に維持量まで増やしてTSHを正常範囲内に維持します。甲状腺が急速に肥大したり、痛みや圧迫症状を伴う場合は、短期的なグルココルチコイド治療を行うことができます。橋本病性甲状腺機能亢進症は、低用量の抗甲状腺薬とプロプラノロール製剤で治療する必要があります。重度の甲状腺機能低下症を回避するために、ヨウ素 131 や手術は通常使用されません。

上記の甲状腺炎の治療法を読んで、甲状腺炎の患者さんに少しでもお役に立てれば幸いです。もう一つ注意すべきことは、甲状腺炎の患者さんは怒らないようにすることです。怒りは内分泌系にも影響を及ぼすからです。治療期間中、過度の怒りは甲状腺炎の治療効果に影響し、患者さんの回復に役立ちません。